景品表示法と特定商取引法の不実証広告規制

効果・効能をうたう広告には、裏付け資料の準備が必要です。

広告には様々な規制があります。その代表的な法律が「景品表示法」と「特定商取引法」です。これらの法律はそれぞれ平成15年と16年に改正され、規制が強化されました。一般の事業者に対して特に影響が大きいと思われるのは、広告の裏付け資料の提出に関するもの、いわゆる”不実証広告規制”です。

具体的には、効果・効能等について誇大な広告・勧誘をしている疑いがあると行政から指摘された場合、広告を行った事業者は合理的な根拠資料を提出することが求められます。資料が提出されない場合、または提出された資料が合理的な根拠に乏しい場合は、不当表示とみなされ、訂正広告や再発防止措置の立案(景品表示法違反)、または業務停止命令(特定商取引法違反)などの罰則が科せられます。

改正前も、「製品・サービスが著しく優良だと誤認させる広告をしてはならない」という規制はあったのですが、誇大広告であることを公正取引委員会や経済産業省が証明しなければならず、行政としては迅速・的確な対応が難しい状況でした。改正後は、会社側が合理的な根拠を出せなければ誇大広告とみなせるようになり、迅速かつ厳しい対応が可能になりました。

実際に、本年4月2日の日経新聞朝刊には、「経済産業省は北海道の通販業者に対し、合理的な根拠なしにダイエット効果を宣伝し、健康食品を販売したとして、特定商取引法違反(虚為・誇大広告など)で、3ヶ月間の業務停止命令を出した」という記事が掲載されています。通信販売を行っている会社は業務停止命令が出されると、多大な影響を被りますから、特に注意が必要です。

過去に虚為・誇大広告とみなされた広告は次のようなものです。

  • 「電磁場と超音波によりゴキブリ・ネズミ・ダニを建物から駆除します」としたダニとり器の広告。
  • 「1日3食しっかり食べてもきちんと減量できるよう、研究開発されています」と格別な食事制限や運動を伴うことなく、容易に誰でも著しく痩せられるという効果をうたった中国茶の広告。
  • 「思わぬ大金を手にした!」という財布の使用者の声や「購入者の97.8%が効果を実感」、という数字を示し、実際に金運が上昇するかのような表示を行った財布、などがあります。

たとえ、具体的な効用を表現しなくても、体験談や成功事例、権威者の推薦などで、表示全体として一般消費者に著しい優良性を認識されるような表現になっている場合も、誇大広告とみなされる恐れがあります。また、この法律はチラシ広告だけでなく、新聞広告やDM、インターネット広告にも適用されます。
法改正に対応するため、広告の中で具体的な効果・効能をうたう場合には、表現に対応する、客観的に実証された裏付け資料をご用意下さい。具体的には、試験・調査によって得られた結果や、専門家・専門家団体もしくは専門機関の見解または学術文献がこれに当たります。学会で認められていない専門家の見解、または愛用者の体験談や一部のモニターの意見は客観的な資料に該当しないことにご注意下さい。

広告を行う場合、商品をアピールしたい意識が強すぎると効果・効能を大げさに表現しがちですが、法改正によって規制が厳しくなったことを理解した上で、慎重な広告表現を行いたいものです。

お気軽にお問い合わせ下さい

経営相談、経営改善計画などまずはご相談を