売れる切り口の見つけ方

消費者は様々な選択の中から気に入った商品を買います。消費者の気を引かない商品は選ばれません。消費者に選ばれるためには、売れる切り口を見つけ、それをうまい文章にまとめ、POPやチラシ、DMできちんと伝えていくことが必要です。今回は切り口を見つける具体的な方法について解説します。準備として模造紙とポストイットをご用意下さい。

 第一のステップは、商品の特徴をできるだけ多く考え、文章で表現することです。短い言葉で簡潔にまとめ、ポストイットに記入し、模造紙に貼って下さい。従業員を集めてブレーンストーミングを行う方法も有効です。色や大きさ、匂い、味などの物理的形状や、そこから受けるイメージに加え、店主がそれを選んだ理由、製法や素材へのこだわりなど、商品に付随するサービスなどできるだけ多く挙げることがポイントです。グラスを例に考えてみましょう。サイズが小さめ、耳型の取手がある、帆船の模様がある、模様は地味目、吹きガラスなので微妙に模様が違う、値段は500円、曇りガラスの白がきれい、ラッパ型で泡が最後まで消えにくい、等が出されたとします。

 第二のステップは視点を変えて、消費者が商品を買う理由や買いたいと思う場面をできるだけ多く考えます。消費者に直接聞いてみても良いでしょう。買いたいと思われる理由や、顧客から聞いた生の声の一つずつを、ポストイットに1枚ずつ書き出し、模造紙に貼り付けます。くだらないと思われることでも書いてみることが重要です。なぜなら、ささいなアイデアを組み合わせることで、思いがけないアイデアを発見することがあるからです。上記の例では、かわいい、値段が手頃、値段の割に豪華、プレゼントに使える。ビールの色が映える、底のビールまでおいしく飲める、があったとします。

 第三のステップは、第一ステップで集めた商品の特徴と、第二ステップで集めた買う理由を結びつけることです。具体的には、模造紙の上で、ポストイット同士をくっつけます。一つの特徴が、二つの理由と重なる場合は、同じ文章を白紙のポストイットに記入し、別々のペアを作って下さい。例えば、(サイズが小さめ??かわいい)、(帆船の模様??値段の割に豪華)、(吹きガラス??プレゼントに使える)、(曇りガラスの白がきれい??ビールの色が映える)、(泡が消えない??底のビールまでおいしく飲める)という感じです。

 第四のステップでは、上のステップでペアに対して、??多くの消費者の支持を得る理由になっているか、??同種の商品と違う特徴か、という観点から感覚的に順位を付けて下さい。

 第五のステップで、順位の上になった組み合わせから、買う理由??特徴という順番で、短い文章にまとめていって下さい。そして、その表現が顧客の感情に響くか考えて、最も有効だと思われる表現を選び出していきます。さらに、別の組み合わせを付け加えたり、別の単語に代えて表現を洗練させていきます。

 そして最後に残った言葉が、商品の切り口になります。上記の例では、「色までこだわるビール通の彼に贈りたいグラス」、「変な形ですが、きれいな泡が残り、最後までおいしく飲めるグラスです。」などです。

 以上の作業を行うと、意外にうまい切り口が見つかるものです。作業の中で、「いかに商品について深く考えていなかったか」、という感想を持たれることと思います。その経験が別の商品の仕入れや新商品の開発の大きな財産になることでしょう。

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